6月22日に、今秋の北九州国際音楽祭のプログラムについて音楽祭のボランティアスタッフを対象にして勉強会が開催されました。
その勉強会の様子をレポートします。
まず初めに北九州国際音楽祭事務局長の平野氏よりあいさつが行われました。
そして北九州国際音楽祭企画アドバイザーでもある本日の講師の奥田氏にマイクが渡され、いよいよ勉強会の始まりです。
勉強会 会場風景
奥田氏はあらかじめ配られている音楽祭のチラシを見せながら、ここに掲載されている公演について今回は違った切り口で紹介したいと言われました。
世界的なソリストのリサイタルではその人の力量を際立たせる名パートナーがいなければならないという話をされ、今回のプログラムについてもそれがはっきり現れていること、その中でも何故この人を招聘したのか?、何故この曲をお願いしたのか?、そしてオリジナル企画についても話していきたいということです。
また、奥田氏が個人的によく知るアーティストもいるのでその隠れたエピソードなどについても話したいと言われました。
なんといっても、今回の目玉は11月12日に行われるチェコ・フィルハーモニー管弦楽団/プラハ・フィルハーモニー合唱団の公演です。
今回チェコ・フィルはいろいろな意味で歴史的、記念碑的であり、今秋の日本のクラシック界の大きなコンサートの一つだと奥田氏は言われました。
世界にはいろいろな音楽祭がありますが、その中でも「プラハの春音楽祭」はヨーロッパで最も伝統と格式があると言われている音楽祭です。
この音楽祭では、毎年5月12日(チェコを代表する作曲家・スメタナの命日)を初日とし、この日チェコ・フィルは必ずスメタナの「わが祖国」を演奏するといいます。
そして、最終日にはベートーヴェンの交響曲でフィナーレを迎えます。
ごくまれにプラハの別のオーケストラが演奏することもあるようですが、チェコ・フィルが「プラハの春国際音楽祭」のメインであることには変わりはありません、とのこと。
「こう聞くともうお分かりでしょう?」と奥田氏も言われるように、今回の公演ではまさにこのプラハの春音楽祭の初日と楽日に演奏される2曲が選曲されているのです。
おまけに北九州国際音楽祭ではこの日が最終日、チェコ・フィルにとっては日本公演の初日という偶然(必然?)もあり、聞き手だけでなく演奏する側の意識に対しても相当な期待が持たれます。
ドヴォルジャーク没後100年、スメタナ生誕180年、ヤナーチェク生誕150年が重なって“チェコイヤー”とも言われる今年ですが、北九州音楽祭では更なる幸運が重なりこのチェコ・フィルにはぜひとも期待したいということでした。
それから、私たちがよく知るベートーヴェンの第九ですが、音楽的技術的に高度なレベルを必要とするこの曲を世界を代表するオーケストラ(合唱団)がやったらどうなのか?ということも頭において聴いて欲しいと言われていました。

お茶を飲みながら・・・。リラックスした雰囲気の中ですすんでいきます。
もう一つの目玉は、音楽祭のオープニングに行われるパリ室内管弦楽団です。
この公演では二人のソリストの演奏が大きな聴きどころとなります。
今回演奏されるフルートとオーボエのための協奏曲(ハイドン)は息の合った名手二人でないと出来ない曲であると言われており、それを奥田氏も絶賛する現代最高のオーボエ奏者であるフランソワ・ルルーと日本のフルート界のスター・高木綾子がどう聴かせてくれるのか気になります。
他にも、フルートの曲としてよく知られているお馴染みのモーツアルトのフルート協奏曲がもともとはオーボエ協奏曲として書かれていたものの編曲であり、ここでは元のオーボエ協奏曲が聴けるということも参加者の関心をかった様子でした。
実はこの公演の前に「高校生の鑑賞教室」としてパリ室内管弦楽団が非公開の演奏会を行います。
これは小学生から高校生までを対象に、音楽の素晴らしさを体験してもらうプログラムで、音楽祭事務局がアウトリーチの一環として行っているものです。
せっかく世界的な素晴らしい演奏家が北九州に来てくれるのだから、夜のコンサートの前の時間を利用して、昼間子供たちのためにも演奏を聞く機会を作ってもらえないものかということで、今回もパリ室内管弦楽団が市内の高校生(参加指定校)の為に行ってくれることになりました。
北九州ではもはや定着してきたこのやり方も、最近は他の自治体も参考にしているとのことで、「北九州方式」と呼ぶ向きもあるとか。

講師の奥田佳道氏。(NHK-FMや雑誌『音楽の友』などでも活躍中。
休憩をはさんでまたいくつかの公演についてのお話がありました。
最初に奥田氏が言われていた名コラボレーターの代表といえるような組み合わせに10月29日公演のエマニュエル・パユ(フルート)とエリック・ル・サージュ(ピアノ)を挙げ、ここではパユの名前が先行しているけれどル・サージュも現代屈指のソリストであり二人がどれほど深い絆で結ばれているかを話してくれました。
ル・サージュは本来ソリストであるけれど、親友のパユやルルー、ピアノのブラレイなど限られたパートナーとだけ組むということ、パユは自分のリサイタルを計画する時一番にル・サージュのスケジュールを気にすることなど、こういったエピソードを知っていると聴く音楽にも一層深い感動がプラスされるのかもしれません。
他にも、アーティストや曲目についての説明や楽しいエピソードの紹介があり、CDを聞きながら進んでいったので2時間の勉強会もあっという間に終わりの時間となってしまいました。
参加者からは「ピアノ・デュオのときのピアノの置き方は?」「どの席を選んだらよいか?」など様々な質問も出て、音楽祭への期待と意気込みのようなものを感じました。
今年も趣向を凝らした魅力的なラインナップが揃った音楽祭ですが、今日の勉強会を終えてますます楽しみなものになったと思います。 |